精子戦争は女性の子宮や膣内で起きる受精の為の争いですが、
それは同じ男性の精子間の争いを意味しているものではなく
別の男性精子との受精競争を指しています。
概要
|メスの生殖本能
女性は出来るだけ多く男性の精子を膣内に集めて、
膣内、子宮内での精子間の受精競争を行わせて
出来るだけ能力的に優秀で健康な男性の遺伝子をゲットしようと
する本能があります。
それは有性生殖をおこなう生き物殆どすべてもっている生殖における
生存のための本能といえます。
多くの動物のメスたちは頻繁にパトナー以外のオスと交尾をして
その遺伝子を体内に取り込みます。
一夫一妻で同じパートナーだけで生殖を生涯通す動物は
実際ごくまれにしか存在しません。
長期的なパートナーはあっても頻繁に他の相手と交尾します。
鳥類がその典型で番(つがい)で子育てしますが
子供のDNAが全てツガイの相手のオスと同じDNAであることは
ほとんどありません。
ある鳥類は力の強いオスのパトナーになれなかったメスは
その周辺に他のオスと巣を作り、頻繁に夫の目を盗んで
力の強いオスにおねだりして交尾し、遺伝子を取り込むといいます。
その場合40%はそのオスの子であると言います。
我々が思っていたオシドリ夫婦などは幻でした。
|人類祖先のメスの生殖生態
人類のメスも実態はこの動物界の掟に従った行動をとります。
そのセクシュアリテイーはまだ人類が類人猿や原人であった時期の
乱交乱婚に大きく由来するものと考えられます。
狩猟採取の時代は人類は一夫一妻ではなく
性的に平等な乱交による生殖をおこなっていたと考えらています。
メスは多くのオスと集団的に交尾し、その精子を体内に注入されました。
その交尾は現在のような恋や好みで相手を極端に選択することはなく、
病気などに犯されているオスでない限り全てのオスを受け入れていました。
全てのオスにセックスのチャンスはあったのです。
そこで起こった現象はメスの膣、子宮内での精子同士の受精競争です。
メスは多くのオスの精子を受け入れますが、
自らの体の中で最終的な受精勝者の決着をつけさせたのです。
|女性の精子の選別
メスたちは無選択で偶然的に注入された精子を
受精させていたわけではないのです。
肉体的に健康で能力も高いオスや免疫的に補完できるオスの遺伝子を
戦略的に選別していました。
いわゆる自分の好みのタイプのオスの精子を、即ち子孫の繁栄が
期待できるオスの精子を選択していったのでした。
|精子の吐き出し現象
その一つの方法は無意識に遺伝的にそぐわないオスの精子は
膣内に排出することです。
これは現代も女性がセックスの後、20~30分後に精液を掻きだしてしまう機能です。
これは常に性交後に起こる現象ですが、その排出の量によって
体内に残されるその時のセックスの相手の精子の量を調節しています。
|オーガズムによる受精コントロール
また性交時のオーガズムを迎えることで子宮頚官粘液を大量に分泌し
より精子が子宮にたどりつきやすくし、
また子宮頚官のフィルターの幅を広げ、
精子が子宮頚官に入りやすくします。
その際、子宮頚官はバルーン現象で膣奥にできた精子のたまり場に
ゾウの鼻のように伸びてきて積極的に精子の吸い上げも行います。
オーガズムを向かえると子宮頚部は子宮頚官粘液を大量に分泌しますが、
その粘液は膣内の酸性を数時間アルカリに変えて精子が
より生存できるようにもします。
このように女性は相手によってオーガズムを調整することで、
すなわち相手によってオーガズムの有無を調整し、
精子の子宮への取り込み量をコントロールしています。
オーガズムは妊娠の絶対条件ではありませんが、
好条件にはなります。
イケ面の男性とのセックスで女性はよりオーガズムに達する頻度が増すといいます。
|排卵による調整
最終的な女性の精子の選択は排卵時期の調整によって行われます。
女性は自分のほしい遺伝子を受精させるために無意識のうちに
その相手とのセックス時期と排卵をコントロールしています。
出来る限りその男性との受精の確立を増やすように体が排卵を調整し、
また他の男とのセックスにも応じる時期もコントロールします。
排卵された卵子はわずか12時間しか生きながらえない為、
受精されるタイミングごくわずかです。
それは男性にも決して分かりません。
精子はほぼ4日の命ですから女性はこの4日の間に受精コントロールを
行うと考えられます。
このように女性は乱婚乱交の生殖の生態を通じて多くの男性の精子を
取り入れるざるを得なかった事情から子宮内での精子の選別を
無意識、本能のうちに行うようになったと言われています。
この機能はその後の農耕が始って部族同士の争いや略奪が行われるようになり、
女性も不本意なセックスを強いられるようになると女性が妊娠のリスクを
少しでも回避できる手段にもなりました。