ちょっと一昔前まで男たちがこの世で一番恐れたものは
梅毒でした。
梅毒患者は鼻が落ち、脳が腐って最後は死んでしまうと
中学生の頃聞かされて恐怖したものでした。
実際に人類は梅毒によって多くの被害を受けてきました。
その梅毒も日本では殆ど過去の病気のような感がありましたが、
2000年に入って復活しています。
行動的な男性には注意が必要な性感染症です。
概要
|梅毒とは
梅毒はトレポネーマという病原菌による性感染症(STD)です。
有力な説ではコロンブスが15世紀末アメリカ大陸のインデオとの接触でヨーロッパに
持ちかえったとされています。
その流行はあっという間に世界中に広がり、日本にはコロンブスのアメリカ大陸発見
1492年から20年後の1510年頃には感染の記録が残っています。
最初は沖縄に伝播して沖縄では大流行した記録が残されています。
特に娼婦をキーに感染していきました。
江戸時代の夜鷹は鼻がない「鼻欠け」などと川柳にも歌われています。
梅毒テレポネーマは伝播力の強い病原菌で人類の存続に
大いに影響を与えてきました。
1940年抗生物質のペニシリンの開発まで不治の病とされて
多くの歴史上の人物も感染に悩まされています。
ペニシリンによって先進国では感染者は激減しましたが、
後進国では未だに1200万人以上の感染があるといいます。
以前は海外出張でペニシリンを持って行けと言われたのはこの為です。
日本では一時は感染の発生が安全レベルでしたが
2000年代に入って患者数が増加して現在では1500名ほどの感染があります。
これはHIVの感染者数と同じくらいの値ですので
決して過去の病気ではなくなりました。
|梅毒に強いO型?
梅毒は中南米からもたらされたとされています。
実際にこの地域では梅毒に免疫力を発揮するO型が90%以上の比率になっています。
梅毒に弱いとされるAB型は数パーセントの比率でしか存在しません。
梅毒は人類の血液型で生き残るべきタイプを淘汰していったのです。
O型の男女が比較的セックスに大らかで積極的なのは
梅毒への免疫力があるかどうかが要因と言われています。
梅毒に比較的弱いA型、AB型は感染の心配からセックスには慎重になってしまったのです。
|梅毒の感染経路
基本的にはあらゆるオーラルセックス(フェラチオ)を含めて性行為で感染します。
皮膚や粘膜の小さな傷から病原菌が侵入して血液を介して全身に広がります。
口内に感染がある場合にはキスなどでも充分感染します。
また肛門や直腸粘膜は非常に弱いためにアナルセックスでの
感染率は非常に高くなっています。
男性同士のセックスではHIVとともに感染率が非常に高いのが現状です。
以前は母子感染することで先天性梅毒もありましたが、
近年は日本では出産時の処置でほぼありません。
|梅毒の症状
梅毒の表に現れる症状は長期の変化を見せます。
梅毒の症状は3週間、3か月、3年がターニングポイントになると言われています。
|第1期(感染3週間)
梅毒トレポネーマが感染したところ(性器、口、肛門、唇など)の皮ふや粘膜に
小さな硬い腫れもしこりが一か所できます。
また太ももなどのリンパ節がはれます。
いずれも痛みはなくやがて2~3週間で自然に消えます。
多くは最初心配しますが、消えることで忘れてしまいます。
|第2期(3か月)
一度消えた症状ですがその間、梅毒トレポネーマは全身に拡散してゆきます。
そして全身に特に顔や手のひらや足の裏にバラ疹といわれる赤い発疹が出来ます。
また脱毛症状を示すこともあります。
これらは3カ月~3年の間に出る症状でやがて消えてゆき
潜伏期にはいります。
多くの人たちは潜伏している間は大きな問題を起こさないが、
この2期までの間に適切な治療して置かないと
やがて15%強の人が3期に移行して深刻な症状に移ることになります。
|第3期(3年~10年)
感染後3年~10年の間に第三期に移り皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が
発生します。脳細胞への悪影響もあり視力や聴力を失ったり認知症を発症も見られます。
しかし医療が発達した現代では第3期以降に進む患者は稀だといいます。
|第4期(10~25年)
梅毒に感染から10~25年ほどで末期症状にはいります。
心臓、血管、神経、目などに重い障害が出て最終的には死に至ります。
現代ではここまで至る人は日本では皆無のようです。
しかし、近年の梅毒トレポネーマは大きな腫れものなどの発症を見せないと言います。
突然、ある時に最終の結末を感染者にむかえさせます。
梅毒トレポネーマの生物学的な進化の結果によるものです。
|梅毒の治療
ペニシリンによる治療が行われます。
感染の症状によって投与の期間が変ってゆきます。
第1期で2~4週間で、第2期では4~8週間になります。
第三期では12週間になります。
梅毒の治療は決して難しいものではないので上記の症状が出たら直ぐに
病院に行ってください。
勿論パートナーの治療も同時に行う必要があります。
梅毒の予防はコンドームが有効とされていますが、
勿論100%ではないことをご承知ください。