女性の更年期障害は広く社会的にも認知されて、
多くの女性は生理が終わりを迎える50歳前後にはその症状を自覚します。
一方、近年、男性の更年期障害があることが次第に明らかになってきています。
しかし、其の認知度はまだ低いようです。
女性の更年期障害は女性ホルモン・エストロゲン低下によって起こりますが、
男性の更年期障害は男性ホルモンであるテストステロンの低下によって起こります。
LOH(Late-Onset Hypogonadism)症候群、
日本語では加齢男性性腺機能低下症候群と呼ばれています。
Hypogonadismは性腺機能低下症を意味し、onsetは開始の意味です。
中高年の男性の体調や気持ちが何となくさえないのはこのLOHによることが多いのです。
どうやら我々もしっかり意識しておく必要があるようです。
概要
|LOH症候群の始まり
男性の更年期障害は男性ホルモンの低下が目立つ40代・50代にその兆候が現れ、
定年を迎える60歳前後に自覚されることが多いようです。
遅い人では70代80代に現れる人もいますが、大きな個人差があります。
中には80代でもテストステロン値が高く30代の値を示し、
全く男としてバリバリに元気な人も存在します。
医師は問診や様々検査でLOH症候群と判断するようですが、
明確な診断は難しいようです。
フリーテストステロン値は11.8pg/ml以下は一応の目安とされています。
(テストステロンは多くはタンパク質と結びつぃて不活性状態ですが、遊離テストステロン(フリーテストステロン)は
全テストステロンの数%ですが、男性ホルモンとして働くのはこのフリーテストステロンです)
これは20代の60%レベルになりますが、
人によってそれぞれではっきりした境がないのが実情です。
|LOH症候群の症状
LOH症候群は精巣で作られるテストステロンの低下によって、
主に自律神経の障害による症状として現れます。
具体的には大きく分けて3つの症状に分けることができます。
- セックスの不調
- 体の不調
- こころの不調
です。
セックスの不調
セックスの不調はテストステロン値の低下によっておこる
性欲の低下とペニスの勃起不全(ED)です。
まず女性への関心やセックスへの意欲がなくなってきます。
ペニスも朝立ちがなくなり、セックス時に勃起が充分おこらなかったり、
立っても中折れ現象が起きたり、半勃ち状態で射精したりします。
これらの症状に襲われた多くの男性はセックスに対する自信を失い
女性から遠ざかりセックスを回避するようになります。
俺ももう年だから
と自分を言い聞かせ納得してしまい、
LOH症候群と自覚することなくそのまま男であることを諦めます。
体の不調
テストステロン低下による自律神経の障害は体の生命活動にも大きな影響を与えます。
中高年の人が以下の症状に悩まされてる人はLOH症候群を疑うことも必要です。
- 不眠
- めまい
- 発汗
- 火照り
- 頭が重い
- 頭が冴えない
- 夜間の頻尿
- 疲れやすい
- 頭痛
- 手足の冷え
- 肩こり
- 筋力低下
- 耳鳴り
- ETC
これらは女性の更年期障害の症状によく似ていますが程度は軽いために
何となく調子が悪い
くらいにしか捉えず、自覚症状として感じません。
また心筋梗塞原因の1つに、男性ホルモンの低下が挙げられています。
男性ホルモンの低下が進むと、加齢現象である高血圧や内蔵脂肪の増加がおこり
筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めると言われています。
心筋梗塞の患者の多くは数年前からLOH症候群の様々な症状があると言います。
心の不調
LOH症候群は精神にも大きく影響を与えます。
それまでテストステロン効果によって支えられていた自信や攻撃的で男らしい気持ちが
テストステロンの低下によって失われていきます。
以下のような精神的な不調を見ることができます。
- 不安
- イライラ
- 無気力
- 憂鬱な気分
- 記憶力の低下
- 集中力の低下
テストステロンの低下はそれまで生き生きと生きていた男性をまるで
小心で無気力で無能な男へといつのまにか変貌させていきます。
最近の研究報告ではテストステロン値が低いと
うつ病になりやすくなるということも分かっています。
|LOH症候群の治療のすすめ
テストステロンが男してのプライドや自信、能力などで
男性の人生を長い間支えてきてくれましたが、
残念ながら年齢とともにはそのテストステロン効果は次第に弱まります。
男性は多くの場合、自分の男らしさの低下がテストステロンに分泌によることは
余り意識することはありません。
その低下の対策を取ることもなく精神的にみじめな晩年を過ごしてしまいます。
もしくは心筋梗塞や脳梗塞などの病気に見舞われて不自由な生活を強いられます。
逆を言えばテストステロン値をあげることでこれらのLOH症候群の症状を抑え込み、
また若いころの猛々しいセックスと気力・体力を取り戻せることが出来ます。
男の人生はまだまだ諦めることはないのです。
これまでの自分の心のなかの訳の分からない不安やセックスの恐怖は
全てテストステロンの不足からきたものと割り切ることです。
そして分泌を高める為の何らかの対策を取ることです。
根本的には自分自身の体によるテストステロンの生産を高めることをお勧めしますが、
専門医院ではテストステロンの注射での治療も現在、盛んになってきています。
症状の重い方は医師に相談されることをお勧めします。
生きる気力や楽しみを失いつつある男性は
それを一つの病気として治療することも一つの手段です。
強い症状のないシニアのかたでも今すぐにでも
テストステロンの維持と増進をお読みいただいて
自力で男性ホルモン値を高めることがいいでしょう。
男の更年期障害をまずは認識しましょう。
そしてしっかりした対策を取ることが人生を楽しむ秘策になるのです。