依存症で良く知られるものが、コカインなどの薬物依存症ですが、セックスも依存症になることも知られています。ここでは、最初に依存症とはどういう仕組みなのかを見てみます。
概要
依存症の元凶はドーパミン
依存症、つまり中毒症状はドーパミンの快感神経系が大きく関わり、人が自分の意志のコントロールが不能になる現象です。最近では、ASKAの覚せい剤事件が有名ですが、薬物やアルコール、タバコ、そしてセックス・SMセックスなどさまざな刺激によってひきおこされます。その仕組みはほとんど同じように作用します。
薬物の常習性すなわち薬物依存性の強度は常用する薬物の性質によって様々です。LSD、タバコなどは比較的依存性が低く、覚せい剤、コカインなどでは極めて強い依存性示し、最終的には人格破壊にまで至ります。
依存症の発症の仕組み
1.ドーパミン快感回路の活性化
人はコカインなどを吸引することで一気にドーパミン神経を刺激して、ドーパミンの分泌が活性化し、快感を引き起こします。
2.快感回路の強化
その快感は脳に記憶され、人はその快感が忘れられなくなります。刺激物の摂取量によってドーパミンの分泌量は左右されますが、一気に高まったドーパミンの分泌能力は強化され維持されます。
3.快感を再現したい欲望
脳は刺激物によって得た快感を記憶し、ドーパミンが薄れ、感覚が低位になるとその快感の再現を要求します。即ちドーパミンを再度分泌させる刺激を要求するのです。
4.再度の薬物摂取
薬物効果が薄れるたびに脳は薬物投与を求め、依存者は薬物摂取を繰り返します。その頻度が増すとドーパミンを抑制する回路が停止してきます。
(*通常、脳ではドーパミン活性回路と抑制回路が拮抗し、バランスをとって、健全な状態を保っています)
抑制回路の停止によってよってドーパミンは抑制されることなく、放出量がさらに増えて強い快感、恍惚感が生じます。快感はさらなる快感を求め、薬物の摂取を要求し続けます。
5.感覚の鈍化
やがてその薬物への感受性が麻痺していき、次第に快感の度合いが低下していきます。しかし、脳は以前得た快感をしっかり記憶をしており、その再現を強く求めます。次第に薬物の摂取量が増えていきます。
6.薬物への渇望感
薬物の常用者による証言ではこの段階では、もはや強い快感を得ることがなくなっていると言います。しかし、脳はドーパミンの分泌を求め続け、大量の薬物を取るように司令しますが、快楽は益々低下し、渇望感だけが大きくなっていきます。摂取の頻度や一回の摂取量が膨れていきます。これが依存症と言われる症状です。その薬物がなければ、通常の生活が営めなくなっています。依存症ではドーパミン分泌の強化や抑制系の停止だけでなく、神経系そのものも変形して依存性を増しています。
依存症の特徴
依存症は以下のような特徴があります。
長時間で定期的な刺激で起こる
散発的な刺激物の摂取ではおこりません。短い期間、定期的な長時間刺激で発症していきます。
軽い依存症と重症な症状がある
コカインや覚せい剤は強烈な依存症を起こします。タバコやお酒などの常用も依存症を引き起こしますが、意志による脱却が可能です。コーヒーなどのカフェイン中毒も軽度といえます。
遺伝的な要因も強い
快感に溺れてしまった人だけが依存症を引き起こすとは限らず、遺伝的な要素も影響します。遺伝的にドーパミンに反応が鈍い人で、なかなか快感が得られないために、ついつい強い刺激を求めてしまい、依存症になってなるケースがあります。肥満の人が、いくら食べても満足出来ず、食べ続けてしまう食物依存症などの現象です。
ストレスも要因になる
強いストレスを受けることで、別のより強い刺激を求めてしまい、発症します。また一度ストレスが原因で依存症になってしまうとそのストレスを受けるたびに再発に至る危険性が生じます。ストレスがトリガーになります。
完治は難しい
一度このドーパミン報酬回路による依存症が起こると脳の強固な記憶によって完全に症状を治すことは難しいのが現実です。
トリガーによって再燃再発する
その時使っていたパイプなどの摂取の為の道具を見たり、同じような環境に置かれたりすることが引き金になり、快楽を思いだした脳が、再び刺激を要求し、再発します。
このようにドーパミンの報酬システムは人類に大きな発展と悦びをもたらしましたが、多くの不幸な依存症の人々も生み出しました。そして、この薬物依存症と全く同じ仕組みでセックスでも依存症が発症することが知られています。