女性の肉体、性行動、性反応には、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、オキシトシンなどのホルモンが複雑に関与し、表に現れてくるそれぞれのセクシュサリテイーは千差万別で実に個性的です。女らしい体や性欲や性感などは、これらの性ホルモンがどのようなタイミングでどのように関わったかによって、その女性のセックス様態は大きな特徴を持つようになり、性的な独自性を持っていきます。オッパイの大きな女、直ぐにイッテしまう女、性欲の強い女などの特徴付けは、これらのホルモンの影響度合いによるものであり、女性一人ひとり様々な姿を持ち、また同じ女性でも年齢や生理によってもまるで違ったセクシュアリテイーを示します。
一方、男性の性衝動は男性ホルモン・テストステロンの単一作用によるものであり、女性に比較して明瞭で単純です。我々、男子はついつい自分の性的な行動や思考を基準に考えがちで、身勝手で一方的な行動を取ってしまいますが、女性の性行動は複雑で不確実であることを理解しなくてはなりません。
概要
男性ホルモンの女性への影響
女性の性衝動には、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、オキシトシンなどの他、ドーパミン、DHEAやPEA、セロトニンなどの複数の脳内化学物質も関わっていきますが、その影響度から女性ホルモン・エストロゲンと男子ホルモン・テストステロンの作用に単純化して捉えることが出来ます。
女性らしい肉体や性衝動は女性ホルモンであるエストロゲンによって形成され維持されていきますが、女性の肉体には男性ホルモンであるテストステロンも男性の5~10%程度存在し、女性の生涯において、その時々のセックスに大きな影響を及ぼします。つまり、その時点でどれくらいエストロゲンを有し、テストステロンを保持しているかによってその時示す女性のセクシュアリテイーが変わることになりますが、その作用の強度はその時点で両ホルモンの活性の比率に準じています。
女性の多くは、女性ホルモンであるエストロゲンが主体であり、見かけも振る舞いも女性らしさを創り上げていきますが、男性ホルモンのテストステロンも少なからず作用していることを留意してください。その割合の強弱によって、エストロゲンタイプ、テストステロンタイプ、並立タイプなどの性的な個性が生じ、女性の性的なパフォーマンスは微妙に違ってきます。その変化に合わせて男性は、女性の扱いを調整することが要求されます。
クリトリスとテストステロン
テストステロンは、男性化を促し、ペニス形成や性欲に関わるホルモンですが、クリトリスとペニスは発生的には同じルーツであり、女性のクリトリス(陰核)や陰核脚部、小陰唇、大陰唇などもテストステロンの影響を大きく受けてます。
特にクリトリス陰核やクリトリス脚部は、胎児期のテストステロン分泌の分量によってその大きさや感度が左右されることになります。また、青春期、中年期でもテストステロンの体内での分泌比率は変化し、女性の性行動に影響を与え、また生理周期によっても大きな変動を見せることになります。詳細は以下を参照ください。
このように、女性の性行動を捉える時には男性ホルモンの影響も大きく考慮することが大切になります。
エストロゲンと内陰部
テストステロンは外陰部に大きく影響し、エストロゲンはプロゲステロンと共に主に膣や子宮などの女性生殖器の形成に関わり、膣や子宮の発育を促進します。また、月経や排卵、妊娠などの女性の生理現象を全般的に支配しています。エストロゲンは女性らしさの源であり、女性の性衝動の原動力でもあります。エストロゲンは、女性としての体、性欲や性感を生み出していき、子宮などの生殖器を活性化し、出産や母性に関わる働きをしています。
外見的にも乳房や女らしい横に広がり括れたお尻、色白で滑らかな肌を創造し、全身の性的な感受性などもエストロゲンによって作り出されます。心の面でも女性的な優しさや慈しみはエストロゲンによって生み出されます。エストロゲンタイプの女性は女そのものになり、男性にとって実に魅力的で有り難い存在になります。
男性的な性欲と女性的な性欲
テストステロンは性欲ホルモンとも呼ばれ、テストステロンの分泌が盛んな人は強い性欲を示します。男性が恒常的に強い性欲を示すのは、このテストステロンの作用によるものですが、テストステロン型の女性も、男性のように衝動的で強度の性欲を示すことになります。
同じようにエストロゲンも性欲を高める作用があり、排卵時などで女性を性行動に駆り立てますが、同じ性欲でもテストステロンとは性質的に別の特徴を持ちます。エストロゲンによる性欲は、テストステロン性欲が動的であるのに対して、静的な性欲になります。
テストステロンによる性欲は男性が示すように、能動的で刹那的攻撃的である特徴を持ち、乱交性があります。大量に作られる精子をばら撒くことを目的にした積極的な行動を男性に求めます。
エストロゲンは、それとは真逆の方向性を示し、受け身的で熟慮的・融和的であり、打算的な特徴があります。生涯の有効な卵子の絶対的な少なさからの優位性で、セックスを行う相手を厳密に選別し、生活や経済的な保証を求めていきます。
エストロゲンが示す性欲は、相手のアプローチや求める相手の行動に対し、初めて喚起されるものであり、受動的な反応になります。求愛されること、愛撫されることで女性の性欲は初めて覚醒されます。
オーガズムと性ホルモン
女性の性的な反応、性感反応も性ホルモンタイプによって大きな差異を示します。男性はテストステロンタイプが殆どで、骨髄神経による反射的なオーガズムを示し、ペニスが刺激されれば直情的に興奮して、反射的な射精に至るのが通常で、セックスの度にオーガズムを迎えます。
一方、女性のオーガズムは二通りのパターンを有しています。テストステロンがリードする直情的なクリトリスオーガズムとエストロゲンが主体となる他律的なポルチオオーガズムです。他律的とは外部からの働きかけによってようやく動くさまを意味します。
クリトリスオーガズムは男性的なオーガズムに属し、前のめり、直線的、表面的なオーガズムになります。ポルチオオーガズム(子宮オーガズム)は、開発型成熟型であり、底なしで無限性を持ったオーガズムになります。子宮はエストロゲンに支配されていますが、子宮が繰り返し刺激されることでエストロゲンとオキシトシンが活性化され、やがて迷走神経が求心神経となって、脳に刺激を伝達するようになり、その回路が定着して、ポルチオオーガズムが開眼されていきます。迷走神経は循環器、呼吸器、臓器全般を支配する自律神経であり、反復性を有しています。子宮オーガズムが何度も無限に繰り返されるループ現象は迷走神経支配の特徴を表します。
テストステロンによるオーガズムは衝動的で薄っぺらですが、エストロゲンによるオーガズムは学習的で、子宮の奥底から果てしのない絶頂を生み出しことになります。相手の女性がどのホルモンの影響を強く受けているかを明確に洞察し、自らのセックスパターンを的確に対応していくことが成熟した大人の男性には求められます。
まとめ
女性の本来のセシュシュアリテイーは、エストロゲン主体になっていますが、加えてテストステロンホルモンも大きく影響しています。その作用の程度によって、エストロゲン型、テストステロン型、両立型に分けることが出来き、もって生まれた女性のホルモンタイプによって男性の性愛の手法も変えていかなくてはなりません。テストステロン型の女性はクリトリスを主体に刺激し、エストロゲンタイプは、膣とポルチオを主役に攻めていくことで、より高次なオーガズムを女性に与えることが出来ます。